■ ネパールの人身売買と少女の現状

ネパールの人身売買と少女の現状

主催:ラリグラス・マイティ・ジャパン
日時:12月17日 pm2:30~pm4:30

 NHK・BSで放映されたという「売られる少女を取り戻せ ネパール闘う母の家」上映の後、マイティー・ネパール代表のアヌラダ・コイララ氏の基調講演からワークショップは開始された。  ネパールでは、毎年5000人_7000人の10代の少女が、インドに売られ、現在10万人以上のネパール人女性がインドの売春宿で働かされているとの報告に非常にショックを受けた。このような状況を改善するため「自国のことは自分たちの手で_」と車の窓から通行人にチラシを配って呼びかけを行なっている。ネパールは嘗て「エベレストの国、仏様の国」と言われていたが、今や「人身売買の国」になってしまったと嘆きの思いを述べた。  

 最後にある女性の体験談を聴くことが出来た。彼女は人身売買の被害者でマイティーに救助され現在はマイティー・ネパールのスタッフとして活動している。  勤め先で知り合った友人に、「お金を沢山貰える仕事がある」と誘われ、3人の男性にカトマンズから100キロ離れた寺に連れていかれた。そこでジュースを飲むと意識が無くなってしまい、気がつくと部屋に閉じこめられていた。そして自分がその男性達によって売春宿に売られたことを知った。逃げようとすると暴力を振るわれ仕方なく4ヶ月働いていた。ある時、客の一人がてネパールの親類と一緒に救助してくれた。  彼女は話の後半は泣き出してしまい、スタッフに肩を抱かれながら涙ながらに話を終えた。彼女の涙を買春を行う心ない男性に見せたい、そしていつまでも癒えることの無い彼女たちの心の痛みを、罪の意識も無く卑劣な行為を犯す男性にわかってもらえる日が来ることを願い、日本で問題になっている「買春ツアー」の歯止めを関係者は真剣に考え、取り組んでいかなければならないと痛感した。(報告:秋山秀子)

■ 「国外犯処罰のための国際捜査・裁判協力」

「国外犯処罰のための国際捜査・裁判協力」

 主催:日本弁護士連合会
 日時:2001年12月19日 am 11:15 _ pm 1:15

<プログラム及びパネリスト>

司会進行 弁護士 坪井節子氏

1 ワークショップ趣旨説明  弁護士 守屋典子氏

2 プレゼンテーション

(1) タイ_日本ケース報告 
      平湯真人氏(弁護士)
(2) タイ_スウェーデン報告 
      ワンチャイ・ルジャナッブー(タイ法務省刑事法研究所長・FACE議長)
(3) 種々のケースと問題点に関するコメント  
      モーリーン・オブライエン(国際エクパット事務局長・法執行グループ)
(4)フィリピン_オーストラリア,フィリピン_アメリカ合衆国の刑事司法共助条約
       メルセディタス・グチャレス氏(フィリピン法務省副長官)
3 会場討論

<内容のポイント>

1  タイ_日本ケース報告  平湯真人氏
  _「ケーススタディ 子ども買春と国外犯処罰法」(明石書店)ケース15事例_
1996年9月にタイのパタヤで起こった、日本人Aによるタイ人11歳少年Bへの強制わいせつ事件について、タイのNGOと日弁連が連携し、両国の捜査機関を動かしたが、結局、2001年5月、日本の検察庁が不起訴処分の結論を出した。

  問題点は、次のように整理できる。

   @ 日本の検察・裁判における証拠評価姿勢
     (非常にさまつなことにこだわり、それが食い違ったために、犯罪は明らかにあり、犯人も被害者も特定できて
      いるのに、被害者の供述の信用性にかけるという評価がされた。)

   A 捜査共助に時間がかかりすぎる(5年も経過すると被害者の記憶があいまいになっていく。)。

   B 両国の捜査機関の共通理解の不足していた(タイ警察の初動捜査のときに、日本の捜査機関が要求する水準の証拠
     がおさえられていなかった。)

   C 子どもが被害者であるという配慮がなかった(被害者Bを日本までつれていって供述をとった。)。

2  タイ_スウェーデン報告 ワンチャイ・ルジャナッブー氏(タイ法務省刑事法研究所長・FACE議長) 

 成功例:「ケーススタディ子ども買春と国外処罰法」(明石書店)のケース13の事例
 成功のポイントは、両国の捜査機関、NGOの連携がうまくいったこと、特に、スウェーデン側の、処罰に対する積極的な姿勢にあった。

<感想>

 1 日本の問題として、捜査機関の消極的な姿勢が気になった。


 タイ_日本ケースで、日本の取調官が供述でしつこく追及したのが、たとえば、「 ティッシュはいくつあったか,ベッドの右か左か。着ていたシャツは,何色だったか,長袖か,半袖か。」というようなことだったという説明があった。犯人がわかっていて、事件が確かにあったのに、そこまで捜査していながら結局不起訴とは・・・・・

 タイのワンチャイ氏が、「大事なのは,Aが全裸で少年Bとホテルにいたところを逮捕されたこと,Bがオーラルセックスを強要された,と言ったことではないのか?」と述べられたのは同感である。誤審を避けることは、とことん大切であるが、被害者を放置するのも同様に不正義である。

 この経緯は、被害者に対して,不公正だったと思う。他のパネリストからも、「これが日本人の子どもだったら,不起訴となったか?」という疑問が呈示されていた。

2 国際的な刑事法の運用は、まだ始まったばかりであり、整理しなくてはならないことが、あまりにも多い。しかし、被害者の存在を考えれば、最初から完璧な制度を作り上げることよりも、1つ1つの事案に具体的に対応する中で、工夫と修正を積み重ねて、結果として矛盾の少ない制度ができあがっていくというやり方が求められているのではないか。(報告:有田千枝)


■「捜査・裁判における子どもの被害者の保護

「捜査・裁判における子どもの被害者の保護」

主催:日本弁護士連合会
日時:2001年12月19日(水)Am4:30〜 Pm6:30

<プログラム及びパネリスト>

司会進行 弁護士 坪井節子氏

1 ワークショップ趣旨説明

2 プレゼンテーション

(1) タイ_日本ケース報告 弁護士 守屋典子氏

(2) スウェーデンにおける子ども被害者の保護に関する報告 
   ヘレナ・カーレン(スウェーデン・エクパット)

(3)タイ刑事訴訟法の改正に関する報告  
   ワンチャイ・ルジャナブー(タイ法務省刑事法研究所長・FACE議長)

3 会場討論

<内容のポイント>

1 スウェーデン

1999年1月に始まった新しい法律では、ほとんどの子どもポルノが犯罪になり、すべてのメディア・電子媒体・輸出入が対象となる。被害者の子どもの事情聴取は,特別な資格を持つ者が行う。その資格のためのトレーニングは,最低1ヶ月であり,子どもの権利,傷つきやすい状況の緩和,子どもと接するときの留意点などについて,研修される。研修期間が1年に延長される予定である。

2  タイ刑事訴訟法の改正

 1999年の改正については、ボランティア・グループが2週に1回,ホテルの1室にこもって,午後5時から8時までこもってミーティングを行い,起草作業にあたった。ホテルの費用は,ユニセフが負担した。ボランティア・メンバーは,裁判官,検察官,ソーシャル・ワーカーその他である。

 これは、タイの新憲法が,弱者のことを決めるときは,委員会を作って議論して草案を作成しなければならないことを規定しており、その委員会には,専門家は3分の2までで,NGOが3分の1いなければならないとされているからである。

 改正法は、 2000年2月から施行されているが、法律の運用のための専門家の研修は今も続いている。

  この法律により、子どもからの事情聴取は、警察官だけで事情聴取できないようになった。警察官,ソーシャル/ワーカー若しくは心理技官のチームで対応する。検察官も出席しなければならない。検察官の役割は、法律の求めていることがカバーされているかのチェックである。これは、無駄に何回も子どもから事情聴取を行わないで済むようにするための配慮である。ビデオにも録画される。検察官・警察官は別室で,モニター・イヤホン・マイクを通じて参加する。つまり,コミュニケーションはとれるが,子どもに威圧感は与えない。居心地の良い部屋で行われ,親の付き添いも可能である。また、子どもの記憶は短いので,早い段階(起訴前でも)において,審判をひらいて証言してもらう。月曜日の事件なら,金曜日には証言も可能となった。

<感想>

 タイにおける積極的な取り組みに感心した。日本でも、少年法や刑事訴訟法の改正で、以前よりは、被害者に配慮したものになってきている。しかし、子ども買春については、被害者の「被害者」としての位置付けがまだ確立されておらず、非行として取り扱われているのではないかという点が大変気になった。ワンチャイ氏は、NGOの議長であるが、現職の法務省幹部でもある。日本の官庁とNGOとの間の垣根の高さを考えると、信じられない思いである。

 スウェーデンもタイも、たずさわる職員の研修にかなり重点をおいている。この点も、日本において政策を実施する際に、大切にしていかなくてはならないと思った。(報告:有田千枝)

■分科会「児童の商業的性的搾取に係る犯罪に対する国際捜査協力に関する会合」参加記録

  
 日時:平成13年12月18日(火)午後2時〜午後5時
   会場:パシフィコ横浜 5階 小ホール
   主催:警察庁 (財)全国防犯協会連合会 (社)全国補導員協会

1 開会

   主催者挨拶  警察庁生活安全局長 黒澤 正和
   来賓挨拶   国家公安委員会委員 岩男寿美子
   神奈川県警察本部長 栗本 英雄

2 開催国発表

  「児童買春・児童ポルノに対する日本警察の挑戦」
   警察庁生活安全局少年課長 荒木 二郎

3 各国プレゼンテーション

  「国際捜査協力の推進による成果」
  ICPO事務総局人の密輸担当課長 Mr. Hamish McCulloch
  ロンドン警視庁部長 Ms. Charole Howlett
  英国国家犯罪対策局東部地域担当捜査官 Ms. Sharon Girling
  米国財務省関税庁首席関税官 Mr. Timothy E.Bethel
  質疑応答
  まとめ

4 閉会


   総合司会進行  警察庁生活安全局少年保護対策室長 木岡 保雅

5 発表の概要

 日本では,「児童買春・児童ポルノ防止法」施行後2年間で,海外における犯罪も取り締まり対象となり,2300事例が捜査対象となったこと。昨年は1000事例の児童被害が捜査により救出されたこと。児童ポルノの制作や児童虐待に関しては,タイやカンボジアで行われていた事例が,神奈川県警察及び大阪府警察で摘発されたこと。また兵庫県警察,栃木県警察が米国での児童ポルノ売買について捜査したこと。等について紹介され,今後の国際捜査協力の問題点として,各国の法制度の齟齬や言語の壁が大きく,捜査情報を共有していくことが重要だと閉めくくった。

 英国からの報告では,児童ポルノのウェブサイトを運営している大きな組織の捜査の過程で,多数の児童誘拐事件を摘発するに至った事例について紹介がなされた。 また,インターネット産業界自身が児童虐待や児童ポルノをイメージさせる情報を削除し,子どもがアクセスしたり,将来のぺドファイル予備軍の発生を防止する必要があること。そのための法整備を急ぎ,各国の捜査情報をデータベース化し,情報を活用しながら捜査協力していく方策を模索中であることなどが論じられた。

 分科会傍聴は,途中までだったのでその後の詳細な発表と質疑応答を聞けなかったのが残念でしたが,100名以上収容できる会場内に立ち見が出るほどの盛況ぶりで,英語日本語の同時通訳がつき,スクリーン上では発表者の手元のパソコン操作でレジュメが大きく動きのある見やすい提示でなされ興味深いものでした。 (報告者 大橋)